導入事例

2020.12.28
NECネッツエスアイ株式会社

労務発注プロセスのペーパーレス化を実現し、従来比2,000時間を削減

NECネッツエスアイ株式会社
  • 会社名
    NECネッツエスアイ株式会社
  • 業界
    その他
対象帳票
労務発注依頼書, 見積書, 購入仕様書
before
  • すべての発注に紙を使用していた
  • 労務発注プロセスにおける処理工数に、年間5,267時間かかっていた
after
  • 完全なペーパーレス化を実現
  • 年間処理工数のうち、2,160時間を削減

企画からシステム構築、保守・運用まで、日本全国でICTシステムの導入支援を行なっているNECネッツエスアイ株式会社。発注業務のすべてを紙で行なっていた調達本部でDX Suite を導入。DX Suite の販売パートナーでもある同社がどのようにペーパーレス化を実現したのか、お話を伺いました。

年間およそ3,000社へ発注を行なう調達本部

川田さま:弊社は社会インフラのICT化や産業のDXを推進しています。その中で協力会社から材料や機器などを購入し、それらを取りまとめたソリューションをお客様に提供しています。調達本部では、弊社が受注した案件に対しての発注や支払い、評価、体制の構築など、さまざまな業務を行なっています。その中で、調達オペレーショングループでは実際に発注から支払いまでを担っています。ただ製品を購入するだけではなく機材の施工や導入までのサポートをしており、労務費、工事費が発生することもあるため、調達本部では大きく「労務系」と「ハード系」に分かれた組織体系になっています。社数は「労務系」約2,000社、「ハード系」約1,000社ほどで、AI-OCRは「労務系」の業務で導入しています。

すべて紙で行なわれていた発注業務

川田さま:これまで、調達本部のやり取りはすべて紙で行なわれており、それを担当者がチェックして、問題がなければ社内システムに入力していました。承認が降りれば実際に発注するために注文書を作成し、それをメーカーや協力会社に送っています。業務効率化を推進していく中で、書類の処理が業務の大きな負担になっていると感じ、まずはその負担を可視化しました。稼働分析を行なった結果、業務全体の3割ほどが紙の書類が原因であることがわかりました。そこで、OCRを活用することで業務効率化ができるのではないかと考えましたが、当時は読取精度が導入できるレベルではありませんでした。

手書き文字の「読取精度の高さ」が高評価

川田さま:展示会でAI-OCRを実際に見て、2019年に導入の検討を始め、特に手書きの読取精度と非定型帳票の読み取りができる製品を探していました。5社で比較検討を行ない、DX Suite は他社と比べても非常に使い勝手が良く、非定型帳票を読み取る機能もあり、導入にかなり前向きになりました。社内で特に高評価であったのは、読取精度の高さでした。見積書でトライアルを行なったところ、他社ツールでは80%ほどであった読取精度が、DX Suite は90%を超えていました。ちょうどそのタイミングで社内のメンバーから、弊社とAI inside でアライアンスを組み、お客様にDX Suite を販売していくと聞きました。弊社の商材ということにもなりますので、我々も実際に活用する中で、製品の良さや改善点を見つけていくべきであると考え、導入を決定しました。

AI-OCRとRPAを活用した業務の自動化

小林さま:DX Suite を全社展開するまでに1年3ヶ月ほどかかりましたが、コロナ禍でテレワークに移行する前には完了しました。DX Suite を活用している帳票は、労務発注依頼書、見積書、購入仕様書の3つです。それらの帳票は年間およそ14万件もあり、全体の帳票数は30万件近くにもなります。時期によって変動しますが、多い日では1日1,200件もの帳票を処理する必要がありました。

川田さま:この図が労務発注を処理する全体のフローですが、DX Suite を実際に活用している部分は、赤い点線で囲っている「RPA(1)」の箇所です。事業部の申請者が労務発注依頼書と見積書類の別々のPDFを文書管理システムの「FilingStars」に入れると、別々のPDFが自動結合されサーバーに送られます。その後、DX Suite でテキスト化され、労務発注依頼書と見積書の突合項目(社名、発注金額、見積書番号)が合っているかの自動判定を行ない、問題がなければ自動承認依頼される仕組みです。もし突合項目の不一致やNG条件に該当するデータがあれば、調達本部が発注情報の修正を行ないます。これらのデータのやり取りの構築にはRPAを活用しています。このフローの中で、様々な種類の帳票を瞬時に仕分ける機能(Elastic Sorter)を活用しており、特に労務発注依頼書と見積書は1つのPDFになっているので活躍しています。

完全なペーパーレス化を実現!DX Suite の導入で59%の工数削減も

小林さま:一番大きな成果は業務から紙がなくなったということです。郵送書類の開封だけでも4人がかりで1日1時間かかっていたのですが、その時間もなくなりました。

大内さま:導入前は定時が過ぎても処理が終わらないこともありましたが、今ではどんなに忙しい時期でも定時には帰ることができるほどの余裕が生まれました。以前は指サックが擦り切れるほど書類を触っていましたが、すべてパソコン上で処理できるようになりとても助かっています。他にも、ヒューマンエラーによる確認漏れを未然に防ぐことができるようになりました。

川田さま:従来の処理工数が年間5,267時間かかっていたところから、新しい自動化プロセスによって3,107時間に短縮、59%の工数削減につながりました。また、法律上では発注確証は7年間の保管が義務付けられています。紙の場合は段ボール箱に書類を詰めてトランクルームで保管するのですが、そのトランクルームの維持にも年間数十万ものコストがかかります。それがペーパーレス化によって、必要なコストはサーバー管理費だけになるので、文書のデータ保存のコスト削減にも繋がります。

本来人がやるべき業務に注力できる環境作りを

川田さま:業務は効率化できましたが、人を減らすことが最終的なゴールではありません。空いたリソースで本来人がやるべき業務に集中できるような環境も整えていきたいですね。DX Suite の活用方法は、その企業が抱えている課題によって千差万別だと思います。ただ書類をデータ化するためにいきなり導入するのではなく、まずは業務の見直しから始めることが大切だと思います。

さぁ、データ活用を始めよう。
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