導入事例

2021.05.10
日本生命保険相互会社

約40~50%のコスト削減を実現。AI-OCRが遠い存在から身近な存在へ

日本生命保険相互会社
  • 会社名
    日本生命保険相互会社
  • 業界
    金融・保険
対象帳票
新契約申込書
before
  • 何百枚もの書類を手入力・目視点検していた
  • 業務量の繁閑差が激しく、ヒトに頼る体制だった
after
  • AI-OCRによるデジタル化と自動点検との組み合わせにより新契約処理業務に係るコストを約40%〜50%削減

「デジタル5カ年計画」を掲げ、全社でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む日本生命保険相互会社。紙による業務が多く残る同社金融法人契約部では、金融機関窓口販売商品の新契約申込書類の処理にかかるコストに課題を感じ、オンプレミス型AI-OCR「AI inside Cube」を導入。その選定理由と効果を伺いました。

デジタル化の壁である「紙」の業務を残した仕組みづくり

高武さま:人口減少やニーズの多様化といった社会の変化を受けて、弊社社長が掲げている「ノーデジタル、ノーライフ」という言葉通り、全社一丸でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。その指針として、既存業務効率化や市場への新しいアプローチによる顧客サービスの向上を実現することを目指し、「デジタル5カ年計画」が策定されています。我々は、そのなかでも事務部門として、既存業務の効率化を中心に取り組んでおり、その実現のためにAI-OCRの導入を決めました。背景として、業務全体を見直したところ、デジタル化・自動化を進めるうえで「紙」が大きなハードルになっていたことが挙げられます。特に新契約業務では、毎日大量の申込書類が紙で届くため、それらの処理にコストがかかっていたことからデジタル化が強く求められていました。申込み手続きのペーパレス化も進めておりますが、紙でのやり取りを望まれるお客様も依然として多くいらっしゃるため、紙の書類を効率的にデジタル化し、自動処理する仕組みを作る必要がありました。

ヒトに左右される体制が現場の課題

萩原さま:私たちの事務センターでは、新契約の処理業務を行なっています。扱っている商品は代理店ごとの販売状況や金利情勢に大きく左右されるため、事前に予想を立てて採用や配置をすることができません。そのため、申込件数は日によって大きく変動し、職員が足りないほど忙しい日もあれば、その逆もあります。この現場での課題を解決するために、ヒトだけに頼らず、自動で申込書を処理できる体制の実現が急務でした。

吉岡さま:紙による申込みは平均すると一日約120件ですが、申込み一件につき最低3種類の書類が必要になるため、少なくともトータルで360枚を処理している計算になります。一枚あたりの読取項目は平均して70とかなり多いうえに、書類の種類は金融機関ごとに異なり70種類もあります。

萩原さま:その他、職員・スタッフの教育コストも課題でした。申込書の確認項目が非常に多いことから、ミスや確認漏れが起きないようにメンバーを育成する必要がありました。

遠い存在から身近な存在へ変化したAI-OCR

山田さま:このような課題が2018年の下期に顕在化します。このとき、通常時の5~6倍まで新契約件数が増大し、部内での応援や遅い時間まで業務が続いたこともあり、本格的に自動処理化の拡大が必要だと考えました。AI-OCR自体は知っていましたが、当時は本格的な導入事例は聞いたことがなく、本格的に検討するには距離を感じていました。しかし、DX Suite が大手企業に導入されたという事例を拝見したことがきっかけで、まずはハンズオンセミナーに参加して実際に使ってみながらお話を聞いてみようと思いました。30分程度レクチャーを受け、設定から読み取りまで体験した結果、精度だけでなく、各種設定や使い勝手も良く、距離を感じていたAI-OCRを身近に感じるようになりました。

社内の厳しい審査条件をクリアした、AI inside Cube を導入

山田さま: AI-OCRの選定においては、品質(読取精度)、ユーザビリティ、コスト、セキュリティを重視し、社内の審査においてもそこが論点となりました。DX Suite は読取精度が高いことに加え、変換結果をヒトが確認する際の画面や帳票定義のしやすさ等、ユーザビリティが高いことが評価につながりました。

高武さま:コスト面では、通常、オンプレミスで構築する場合、自社サーバを用意する必要があるため、イニシャルコストがネックとなります。その点については、パッケージとしてAIが搭載された「AI inside Cube」を導入することによってイニシャルコストが大きく抑えられました。また、オンプレミス版であればセキュリティも強固であり、安全性も問題無いと判断されました。これらの理由から、品質面・コスト面・安全面いずれも弊社基準をクリアしたことで、導入に至りました。

現場での活用を促すためにAI-OCRのキャラクターを作成

吉岡さま:申込書類の中には、ヒトが見ても瞬時に判断できないような崩れた文字もたくさんありますが、そのような文字でもしっかり読み取れることにとても驚きましたね。

古池さま:初めは、AIと聞くだけで複雑だと思っていましたが、実際に使ってみると簡単に操作でき、非常に使いやすかったです。そのため、特定の職員に偏ることなく誰でも変換したデータの確認を行なうことができます。

また、導入するAI-OCRについて、事務を担うメンバーが親近感をもって受け入れることができるよう、キャラクター化するなどの工夫も行ないました。

約40~50%のコスト削減に成功!在宅勤務も可能に

高武さま:導入の結果、想定していた通り40〜50%のコスト削減を実現しました。また、前倒しで処理業務を進めることができるようになったため、従来と同じ人数であれば、これまで一日あたり6時間かかっていた業務が、3時間で完了しています。

萩原さま:それ以外の導入効果として、在宅勤務がしやすくなったことが挙げられます。コロナ禍で在宅勤務が推奨されているタイミングでしたが、入力業務は出社しないとできない仕事でした。ちょうど同じタイミングで会社としても、在宅勤務に対応できる環境が整備されたため、自宅からもDX Suite を使用して業務ができるようになりました。

成功事例を手本に社内展開を目指す

山田さま:今回は新契約業務でAI-OCRを導入しましたが、その他にも紙を使っている業務はたくさん存在します。まずは今回の成功事例を伝播し、来年度から部内の他領域や他部門などに展開していきたいと考えています。

高武さま:「デジタル5カ年計画」は事務の効率化だけでなく、お客様と私たち日本生命が、リアルとデジタルを融合しながら繋っていくことを目指しています。今後もデジタル技術を活用しながら社内の業務見直しを進めていくとともに、お客様にとってよりよいサービスを提供していけるよう全社を挙げて取り組んでまいります。

さぁ、データ活用を始めよう。
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