導入事例

2020.03.31
長岡市役所

AI-OCR導入プロジェクトが生んだ、挑戦する文化

長岡市役所
  • 会社名
    長岡市役所
  • 業界
    自治体
対象帳票
医療費助成申請書, 診療費請求領収書
before
  • 量は多くないが、毎日繰り返し発生する単純作業に時間がかかっていた
after
  • AI-OCRとRPAで自動化し、年間で約2,000時間の業務時間短縮に成功
  • 市役所内で業務改善に対する意識が高まった

市民の生活をサポートしている長岡市役所。毎日繰り返し発生する業務の効率化を目指し、地方公共団体等向けサービス「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」を導入した背景や効果を伺いました。

はじめに、皆さまの業務内容を教えてください。

加藤さま:市役所の業務は、市の魅力を伝え地域活性化に繋げる業務や、市民の方が快適に生活できるよう税金や公衆衛生、健康福祉に関する業務など多岐に渡ります。その中でも私は、地方創生推進部イノベーション推進課で長岡市役所内のDXに関する取組の企画や進捗管理をしています。
杉本さま:総務部情報システム管理課で行政情報化や地域情報化の推進、システム運用についての総括をしています。
平野さま:杉本と同じ課で基幹システムやRPAに関する業務を統括しています。
丸田さま:福祉保健部福祉課で医療費助成係として各種医療費助成申請書の審査、医療費償還払い業務を担当しています。

AI-OCRの検討背景を教えてください。

加藤さま:市役所の業務には定型、反復する単純作業がたくさんあるため、業務効率化を目指し2018年の9月にRPAを導入しています。しかし、申請書を紙で受け取ることから業務が始まるため、そこを解決しないと抜本的な事務の省力化、自動化を達成できないという新たな課題が見えてきました。国で電子申請が進められている一方で、電子化に対応できない市民の方に寄り添うことは続けていくべきことなので、紙帳票が残ることを前提に業務効率化をするため、AI-OCR導入の検討を始めました。

「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」をご採用いただいた理由を教えてください。

杉本さま:セキュリティを考慮してオンプレミスサービスを導入するとなると、システム構築に日数を要することや費用がかかることが懸念点となり断念しました。
加藤さま:似たようなAI-OCRサービスはいくつかあることは知っています。個人情報を取り扱う業務のため、個人情報の安全性を担保できることを前提に探していたところ、NTTデータ信越様からの紹介で「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」を知り、他の製品とも比較した上で、地方公共団体専用のセキュアな閉域網であることと読取精度の高さから採用しました。

AI-OCRを導入した当初の市役所内の皆さまの反応を教えてください。

丸田さま:反応はさまざまでしたね。AI-OCRの導入は初めての試みなので、本当に読めるのか、精度はどうなのかと疑問を持つ職員も多く、人が見てわからない文字だとしても1つでも間違えると機械はだめだと言われることもありました。一方で、自分たちの業務が効率化できるならと導入に前向きで、ある程度の間違いがあってもAI-OCRに任せてよいという声もあります。私は、間違いやエラーが出た場合にどう解決していくかの方法を考えるタイプですが、新しいことを始めるためにまわりを巻き込むこと、全員に理解してもらうことは難しいのだと感じました。
平野さま:大多数は、何が起こっているのかわからないという心境だったと思います。ただ興味はあるようで、どんなことをやっているのか、何ができるのか質問を受けることもありました。

どのような業務にAI-OCRを利用されているか教えてください。

丸田さま:お客さまが医療機関で一旦支払いをした後、自治体などに申請をして払い戻しを受ける医療費償還払いの手続きで必要な「医療費助成申請書」と「診療費請求・領収書」の入力業務で利用しています。入力は職員1名が1日8時間かけて行ない、確認は別の職員1名が1日6時間かけて対応していました。2種類の書類を合わせて年間で30,000枚発生し、1日で約130枚と、こなせない量ではないものの、毎日発生する業務です。

導入後の効果を教えてください。


加藤さま:もともと利用していたRPAと組み合わせて一気通貫で自動化することができ、年間で約2,000時間の業務時間短縮に成功しました。職員が行なうのは確認だけになるため、手が空いた分を政策立案や市民対応の充実など、人にしかできない業務により時間を使えるようになると思います。
丸田さま:AI-OCRを活用した業務効率化は必ずできると思っていたので効果が出て嬉しいです。2019年9月からAI-OCRの検証が始まり、2020年2月末に市役所内でこの成果を発表したばかりなので、市役所内の反応はこれからわかると思いますが、今までAI-OCRに疑問を持っていた職員にもこの成果が伝わり、もっと市役所内でAI-OCRを利用した業務効率化が広がればいいなと思います。

導入後、市役所内の皆さまに変化があれば教えてください。

加藤さま:DX Suite は、帳票ごとに読取項目の設定ができて汎用的に使えるため、職員自ら業務改善をしていこうとする雰囲気が強くなったと思います。実は丸田もその中の1人で、我々の部署がAI-OCRで業務効率化をしようとしていることを知り、声をかけてきたことがきっかけで今回のプロジェクトに参加しています。
丸田さま:以前から業務効率化をしたいと思っていました。繁忙期は業務にかかりっきりですが、やっていることは単純作業であることや、お客さまが書類に記入した後、確認のために職員が同じ内容を記入するというような重複するフローになっていると感じていました。こうした日々の業務を効率化できるのではないかと思っていたところ、このプロジェクトを知ったことが参加のきっかけです。

今後の活用展望を教えてください。

丸田さま:いつになるかはわかりませんが、市役所では年度の更新業務が一定の時期にあるので、その業務に利用できたらと思っています。今回の検証で業務を自動化できるという将来性は示せたと思います。
加藤さま:長岡市の人口は約27万人と多い分、1つの業務に対し一度に処理する枚数は多いです。そのため、1つ変えてしまえば大幅な効率化ができます。DX Suite は、今回検証した書類だけではなく他にも多くの申請書入力業務に置き換えることができると思っています。市役所内にあるさまざまな書類の読み取りに挑戦していきたいです。

AI-OCRの導入は、皆さまにどのような影響があると思うかを教えてください。

平野さま:AI-OCRがもっと市役所内で普及してきたら仕事だけではなく、生活も変わってくるのではないかと思います。趣味に時間を費やしたりなど。職員の働き方改革につながることも期待しながら構築したので、これからが楽しみです。
丸田さま:バスケットボールBリーグの新潟アルビレックスBBは、長岡市役所のすぐ隣がホームコートなので、試合を観に行く回数が増えればいいなと思っています。また、ジムに行ってリフレッシュできたらと思っています。

※2020年2月15日に放送されたBSフジテレビ「この国の行く末2」の取材にもご協力いただきました。

さぁ、データ活用を始めよう。
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