導入事例
AI inside Cube の導入でオンプレミスの効率化を実現
- 会社名トヨタファイナンス株式会社
- 業界金融・保険
- 120名のメンバーが手入力で登録していた
- 繁忙期には人が足りなくなることも
- 最低限のリソースがあれば、空いた時間で登録まで完了
- 人の調整をする必要がなく、納品までのスケジュール管理も楽になった
トヨタグループで国内向けの金融事業、クレジットカード事業を手掛けるトヨタファイナンス株式会社。クレジットカード業界の厳しいセキュリティ基準を守りながら、入力業務の効率化を図るため、オンプレミス版AI-OCR「AI inside Cube」を導入。その活用状況や効果を伺いました。
グループ全体でデジタル化を強く推進していく方針
梅原さま:弊社は販売金融、カード事業などを展開しておりますが、紙を使った業務が非常に多い状態でした。現在、DX、デジタルサービス化を推進しており、そもそも紙をなくす取り組みを進めていますが、デジタル化には一定の時間を要するため、並行してAI-OCRを活用した業務の効率化・コスト低減に取り組むことで、デジタル化変革を実行するための投資余力を生み出すことにしました。
業務繁閑対応の難しさから解放
村上さま:AI-OCRを導入したサービスサポートセンターという部署は、お客様サポートにおけるバックオフィス業務を担っています。当社でも顧客接点デジタル化の視点でWEB推進が加速していますが、途上段階。実際にはお客様に住所や氏名などの変更、解約等、専用の書類を送付いただいており、100名超のメンバーが毎月約10万件以上の登録処理をしています。お客様はご自身のタイミングで書類を送付されるので、各種イベントが重なる時期は大量の書類を一度に受け取ることになります。到着してから処理するまでのリードタイムは大幅に変更できないですし、急に人を増員することもできません。AI-OCR導入前の現場では、突然の残業は勿論のこと、担当者が届いた書類を前に「明日は休みだから○○時まで頑張って」と言っている場面をよく目にしていました。
また紙はどうしてもお客様ごとの個性が出てしまいます。手書き内容を見て入力しているため、どうしても読み間違いや入力ミスが起こります。大切なお客様情報であり、本業務は登録ミスは許されないため、1人が入力を行ない、もう1人が入力されたデータを書類の内容とあっているのかを確認していました。そのため、どうしても工数がかかってしまうという課題を抱えていました。
100種類以上の帳票に柔軟に対応できるDX Suite を導入
梅原さま:AI-OCRの選定において最も重視した点は、ユーザカスタマイズができることでした。弊社の帳票の種類は100以上と非常に多種多様で、それらに柔軟に対応する必要があります。それが実現できなければコストメリットが生まれないと考えていました。他社のAI-OCRやアドオン開発ではそれができなかったのです。他にも、読取精度や機能面、費用対効果といったコスト面での比較も行なっています。
クラウド版「DX Suite」からオンプレミス版「AI inside Cube」へ移行
梅原さま:業務の効率化におけるボトルネックは、証憑書類に対するセキュリティ面でした。クレジットカード業界には会員データを安全に取り扱い、個人情報を保護するために策定された「PCI DSS」という厳しいセキュリティ基準があります。元々利用していたクラウド版のDX Suite でも問題はないのですが、投資対効果も見合っていると判断し、より安心なオンプレミス版AI inside Cube へ移行することになりました。
ITツールを組み合わせ、業務効率化を実現
村上さま:書類は、AI-OCRで読み取った後、手書き内容が読み取りづらい項目等をあらかじめ決めて「OCRにエントリー」をしています。書き出したCSVとEUC(※エンドユーザーコンピューティング)を活用して当社登録情報と突合させ、適正な内容であるかチェックしています。問題なければRPAを活用し、システムへ登録。この流れで、人が確認する工数も大きく減ることになりました。
※EUC・・・Excel、VBAなどで作成した簡易な自動処理プログラム
「いつ、誰に、何を」人員の調整がなくなり空いた時間で入力業務が可能に
水野さま:直接システムに入力するよりも、明らかに楽になりました。商品知識、登録ルールを知らなくても、誰でも簡単にAI-OCRを操作することができ、人が確認する項目も減っています。これまでの登録業務はたとえ1件しかなかったとしても、入力する人とチェックをする人の2名が必要だったのですが、DX Suite のおかげで1人でも登録業務が完結できます。どれだけ入力する帳票があろうと、最低限のリソースさえ確保できれば、"いつまでに、誰に、何を、どれだけの量を"という人の調整をしなくてもよくなりました。
田中さま:業務のスピードや生産性も大事だとは思うのですが、入力ミスや情報流出など、販売店やお客様に不安を与えるようなことはあってはならないため、品質向上を重要視していました。ITツールを組み合わせて活用することで、間違いがないことを確かめてから登録ができるので、誤った登録内容が絶対に外に出ない状態になったことが一番大きいと思います。
自発的なIT部門がデジタル化を促進
梅原さま:グループ全体でDXを推進していく中で、IT部門はいかに実現していくかが今後問われてきます。これまで、一般的なIT部門とは経営層から言われたことを開発、実装するという受注型でした。しかし、本当の意味でデジタル化を進めていくのであれば、もっと前面に出て、ビジネスの根本的な部分から手を組んでやっていくことが重要であると思います。そのためにも、社員のマインドセットやアーキテクチャといった部分に手を入れていく必要があると思います。そのためにも、トライアンドエラーを繰り返しながら、デジタル化という価値観を人や組織に植えつけられるよう、愚直に取り組んでいきます。
運用やプロジェクトを見直し最適な方法を見つけること
梅原さま:AI-OCRだけで何かをやろうとしても、できることやその効果も限られます。RPAや社内のシステムといった他のツールと組み合わせて効率化を狙っていくというアプローチが大切です。また、導入を検討すると同時に、運用方法や業務プロジェクト自体も一緒に見直し、最適なやり方を考えることをおすすめします。