導入事例

2021.09.16
MS&AD事務サービス株式会社

AI-OCRの活用で年間40,000時間の業務削減に成功

MS&AD事務サービス株式会社
対象帳票
自賠責保険関連の申請書類
before
  • グループ全体で年間104万件の申請関連業務を紙中心の処理
  • 繁忙期には追加人員の投入や残業も発生、繁閑差の平準化も課題
after
  • AI-OCRの導入に加えEnd to Endの業務フローの見直しも行い、年間40,000時間を削減!
  • 業務を分割できたことで業務プロセス別の同時進行、在宅勤務が可能に

三井住友海上およびあいおいニッセイ同和損保から自賠責保険の業務を受託しているMS&AD事務サービス株式会社。全国から送付される自賠責保険関連の紙の申請書類を1件ずつ見ながら手入力する業務が発生していました。入力業務の自動化を実現するために導入した、AI-OCR「DX Suite」の効果と今後の展望を伺いました。

MS&ADインシュアランスグループの事務業務を担うMS&AD事務サービス

ーー 貴社事業についてお聞かせください。

斎藤さま:弊社はMS&ADインシュアランスグループ傘下の会社の1つです。MS&ADインシュアランスグループ各社の業務プロセスを担い支える会社として、デジタライゼーションに取組み、グループ各社の第一線がコア業務に専念できる態勢の構築を支援しており、およそ3,000名の社員が在籍しています。

及川さま:私たちが所属するユニットでは、自賠責保険の申請業務に関する事務処理を行なっています。営業店から自賠責保険の申請書類を送付いただき、手続き完了までの処理を私たちが行ないます。自動車の買い替えが増える3〜4月が繁忙期になります。通常の1.5〜2倍近くの業務量となるため、その時期は派遣社員を増員し対応していました。

ーー デジタル化はどのように取り組まれてきたのでしょうか。

岩前さま:弊社では独自のデジタル戦略を策定してIA(インテリジェント・オートメーション)の基盤整備に取り組んでいます。これまでRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やExcel・マクロ・VBAの導入を進めてきましたが、今般AI-OCRを組み合わせた業務フローを確立できたことで、今後「紙」起点の業務プロセスを飛躍的に改革できる手ごたえを感じているところです。

グループ全体で年間104万件の申請を処理

ーー担当ユニットではどのような課題があったのでしょうか。

池田さま:業務効率化を実現し、繁忙期の業務量を少しでも削減したいと考えていました。千葉ニュータウンの事業所(三井住友海上)では年間でおよそ49万件の申請書類が届き、1日で最大3,000件もの処理を行なうことがあります。また、大阪の事業所(あいおいニッセイ同和損保)では年間55万件ほど、繁忙期は1日に5,000件もの処理をすることも珍しくありません。1件につき3種類の書類が必要になるため、処理する書類は膨大な量になります。

・自賠責保険の承認請求書

・お客さまに交付している保険証明書

・公的書類(手続き条件を確認する目的)

チェックから入力、システム登録まで、紙が必要になるために在宅勤務はできませんでした。弊社内でもさまざまなデジタル化が進む中、自賠責関連の書類は比較的似たようなフォーマットが多く、入力すべき項目も限られていることから、AI-OCRを導入することで入力業務の効率化ができるのではないかと考えたのです。

読取精度、コスト面、利便性の高さが高評価

ーー DX Suite はどのようなきっかけでお知りになったのでしょうか。

斎藤さま:展示会やセミナーでAI-OCRの技術を知り、3年程前に複数社からお話を伺いました。ただ、当時はまだ精度が低かったため採用を見送っています。その後、システムインテグレーターであるSCSK株式会社のご担当者から、DX Suite の読取精度の高さを伺いました。そこから関心が高まり、AI inside 社にも直接お話を聞き、導入の検討を始めました。

ーー DX Suite 導入の決め手をお聞かせください。

小池さま:トライアルで実際に検証した結果、かなり高い精度で読み取れたことと、コスト面です。読み取った分だけ請求されるという、従量課金は社内からも非常に高評価でした。他社の場合はシステムを構築するため、読取精度もどの程度になるかわからない中で事前に高い開発費をかける必要がありました。また、他社製品では、自社でプログラミングをしないと読み取りができないという制約がありました。しかしDX Suite は、ユーザ側で簡単に操作することができ、自由に帳票定義の設定ができるため、とても利便性が高いと思います。

現場の不安払拭が導入時の課題

ーー DX Suite の導入はどのようにしましたか。

安齊さま:AI inside 社、SCSK社に全面的にご協力いただき、スムーズに導入できています。主に読み取ったデータをRPAにつなげるための設定をサポートいただきました。手続きに必要な書類(自動車保険の承認書)のフォームは、10数種類以上もあり、さらに元号別の帳票世代も混在しているため、帳票定義に苦労しました。これらは、レイアウトは類似しているものの細部が異なるため、AI-OCRでの帳票識別が困難でしたが、AI inside 社、SCSK社の支援のもと、これを解消しました。また、AI-OCRによる帳票識別や手書き文字の自動認識だけでなく、独自データベースによる漢字表記からフリガナへの自動変換や、住所や名前・振込口座欄にゴム印を押印いただくケースの処理も独自手法で自動化しました。

ーー DX Suite 導入時、どのような苦労がありましたか。

及川さま:現場のパートナー社員の不安を払拭することはかなり意識していました。これまでは紙での計上処理に最適化された体制であり、パートナー社員は入力業務に熟練しています。慣れた入力業務がなくなり、AIが読み取ったデータに誤りがあった場合の補正業務に変更となったため、当初は「せっかく熟練した手を否定されてしまった気持ち」「これまでのやり方に戻したい」といった声が聞こえてきました。しかし、慣れさえすればゲーム感覚で補正業務も楽しんでいただけるのではないかと思い、研修や勉強会を重ねていきました。また「まずは全員が触ってみて、慣れる」というコンセプトで段階的に操作習熟者を増やしていきました。対象件数も段階的に増やす計画でしたが、事前準備が奏功して開始1か月目で全件の80%をAI-OCR処理に移行することができました。

作田さま:大阪の事業所では、そもそもなぜデジタル化をするのかを朝礼の場で何度も伝えるように心がけました。その結果、パートナー社員の皆さんがDX Suite を使いこなし、さらなる業務効率化についての意見をいただくようになりました。DX Suite が浸透した現在、不満や不安は聞こえていません。

業務を分割できるようになり、同時進行の処理が可能に

ーー DX Suite の導入で業務フローはどのように変化しましたか?

及川さま:一貫して紙で処理されていたものが、オンライン上のPDFに置き換わりました。それによって、在宅勤務でもAI-OCRでのデータ補正業務ができるようになっています。一番の大きな変化は、業務を細かく切り分け、平行して処理業務を進められるようになったことです。以前は紙ベースで処理をしていたため、<チェック→手入力→計上>という一連の業務を、担当者が順番通りに行なう必要がありました。そのため、1件あたりの処理の時間が増えてしまい、教育コストもかかっていました。しかし、「紙」から「データ(PDF)」に変わったことで、<スキャン><データ補正(誤字修正)><計上>の3つに業務を分割できるようになりました。<スキャン><計上>は書類が必要なために出社が必要ですが、<データ補正(誤字修正)>は在宅でも行なうことができます。それぞれの業務を同時進行できるようになったことで、業務に余裕が出ただけではなく、ローテーションを組むことでユニット全員が交代で在宅勤務ができるようになりました。パートナー社員からも、「リモートワークができて本当にうれしい」という声をいただいています。通勤時間もかかりませんし、小さいお子様がいらっしゃる方も安心して働けているそうです。

年間で40,000時間を削減!即戦力となる人財の異動で新規採用が不要に

ーー DX Suite 導入でどのような効果がありましたか。

斎藤さま:千葉ニュータウンの事業所では11名分のコストが削減できました。その11名は、現在別の新規事業チームに異動となっています。新規事業チームで新規採用をする必要がなくなり、しかも経験豊かな即戦力が異動してきたことで、新規事業チームからは「とても助かった」との言葉もありました。また、業務時間も大幅に削減することができました。東京と大阪の事業所あわせて40,000時間減らすことができています。以前は自賠責の申請業務で約90,000時間かかっていましたが、現在は50,000時間で完了しています。その結果、繁忙期の残業も大幅に減りました。

作田さま:これまで現場では、どうしても読めない文字を2〜3人で集まって相談していたこともありましたが、現在はDX Suite の高い読取精度のおかげで悩む時間がなくなっています。数値で測るのは難しいのですが、パートナー社員の心理的なストレスも大きく減っていると実感しました。

保険会社のデジタル化は必要不可欠

ーー 今後の展開についてお聞かせください。

岩前さま:保険業界は紙がまだまだ残っているため、完全にデジタル化するまでには数年かかると思っています。だからこそ、手書き文字の帳票をデータ化するAI-OCR技術を積極的に活用していきたいと思います。今回の取組で、事務処理におけるデジタル基盤を構築できましたので、このノウハウをグループのさまざまな業務に展開していくことが目標です。今回は比較的簡単な帳票でしたが、少しずつ複雑な帳票にも活用していきたいですね。「2025年の崖(※)」もすぐそこまできています。保険会社が今後も生き残っていくため、デジタル化で生産性を向上させていくことは避けては通れない道だと考えています。

※2025年の崖・・2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了による経済の停滞

さぁ、データ活用を始めよう。