導入事例
年1,000時間以上の削減見込み。AI-OCR活用がデジタル化の鍵
- 会社名株式会社名古屋銀行
- 業界金融・保険
- URL
- 紙を見て手入力する業務が存在していた
- 過去のデータのデジタル化に工数がかかるため、すべてのデジタル化が困難
- AI-OCRとマクロを組み合わせ年間1,000時間以上の削減見込み
- 過去データのデジタル化が可能に!真にテクノロジーを活用できる環境へ
創業以来、「地域社会の繁栄に奉仕する」ことを社是として、地域のお客さまに信頼・支持される銀行を目指している株式会社名古屋銀行。従来の銀行業から『未来創造業』へ進化することを宣言し、地域活性化のために銀行業務の枠を超えたサービスを提供しています。2020年4月からの中期経営計画の中で掲げた重点戦略、テクノロジーの活用の一環として導入したAI-OCR「DX Suite」に関する取組についてお話を伺いました。
「銀行業」から「未来創造業」への転換を掲げる名古屋銀行
ーー 貴行の事業内容をお聞かせください。
当行は愛知県を地盤とする地方銀行で、国内113カ所(支店112、出張所1)に営業を展開しています。銀行業として地域のお客さまに対して、預金・融資・為替等の既存の金融サービスをご提供するとともに、近年ではICTコンサルサービスなど銀行業では取り扱っていなかった分野にサービス範囲を広げています。
ーー 貴行独自の強みをお聞かせください。
「銀行業」から「未来創造業」への転換を宣言し、これまでの金融サービスという枠にとらわれないサービスを次々と展開している点が特徴です。地方銀行というビジネスモデルをよりサスティナブルに、お客様と一緒に持続的な未来を創っていくことを目指しています。顧客企業が多く抱えている事業承継問題をサポートする取組みとしてスタートした「婚活サービス」がその一例です。「地方銀行がなぜそんなことを」と思われるかもしれませんが、近年の少子高齢化の進行、晩婚化・非婚化といった社会状況を、将来不安に感じている独身の経営者・後継者は少なくありません。当行は、婚活支援が円滑な事業承継支援にもつながると考え、コンサルティングの一環として、お客さまにご提案させていただいております。
紙媒体をベースとした業務が自動化の課題
ーー AI-OCRを導入された背景をお聞かせください。
2013年4月よりBPR戦略をスタートさせ、事務の効率化や、本部集中等を全行的に進めておりました。私はそのBPR戦略の専担者の一人として、効率化の為のシステム導入であったり、RPAによる自動化等を担っておりましたが、デジタル化されたデータであれば後続処理を自動化できるものの、紙媒体をベースとした事務フローの場合はそれが叶わず、結果として紙を見て、間違えないように入力するというような業務が存在していました。現場の窓口では手書きの書類が多く、それらをまずデジタル化しなければ次の工程に進むことができません。紙のデジタル化には手間がかかっていたため、AI-OCRはまさに「欠けていたピース」だったのです。
ーー これまでOCRの導入を検討されたことはあったのでしょうか。
いくつかのシステムで導入した事例はありますが、書類のフォーマットが変更された都度、帳票定義を設定しなければならないことや、手書き文字認識精度が低い事から導入は一部にとどまっています。導入したシステムで言えば、OCRの読取結果を確認して訂正する運用ではなく、OCRの読取結果を全く使用せずに最初から手入力しなおすというような運用を行なうなど、認識精度の点で課題を感じておりました。
経営成績やSNSでの評判がDX Suite 導入のきっかけ
ーー DX Suite に興味を持たれた理由をお聞かせください。
大きく以下の3つの理由があります。
① 同技術を専門にした上場企業として経営成績が開示されており売上高が伸びていること
② TwitterといったSNSでリサーチすると、導入企業からの評判がよかったこと
③ トライアルの費用が3万円と安価であったこと
AI inside の売上高を見ても、上場時から大幅に成長しており、ついにAI-OCRの技術で世の中に浸透するツールが登場したという認識を持ちました。
ーー 比較検討は行なわれなかったのでしょうか。
比較検討は行なっていません。トライアル費用が3万円と安価であったため、社内でもその価格であれば問題ないと判断されたからです。また、トライアルを行なう以前からさまざまな企業のAI-OCR製品をリサーチしていたので、比較は不要と考えました。
ーー 導入の決め手をお聞かせください。
AI-OCRの技術や機能も問題なく、読取精度も高いと感じました。ExcelのVBAとDX Suite のAPIを連携することで、住宅ローンのチェックシート自動作成が実現できたことも高評価でした。それらのことから、導入することで業務を効率化できるという実感が得られたのです。
システムを安定稼働させる仕組み作りが横展開のポイント
ーー DX Suite 導入までの流れをお聞かせください。
販売代理店のパーソルプロセス&テクノロジー株式会社様より、キックオフや操作方法の説明など、3万円とは思えないほどの手厚いフォローを頂きました。質問に対するレスポンスも速く、DX Suite の取り扱いに長けた方にしっかり説明いただき、すぐに理解することができましたね。運用フローを自動化するためにはAPIを利用して、RPAなどの手段を用いる必要があり、当行の環境ではVBAによるマクロによって行うしか方法が無かったため、マニュアルを参考にしながらプログラミングを行いました。マクロやプログラムなどのコマンドのみで行う自動化は動作が安定しているため、結果として安心して横展開できる環境ができあがり、トライアルの1ヶ月間でいくつかの業務の自動化を実現しました。下記表は住宅ローンに関して、手書きの申込書からExcelベースの資料を作成する工程を自動化した様子を表したものですが、実装も素早く実現でき、動作も安定しているため、今後は対象範囲を拡大したいと考えています。
年間1,000時間以上の削減見込み
ーー DX Suite 導入後の成果をお聞かせください。
住宅ローンのチェックシート自動作成と、現在進めている別の手続き業務の自動化によって、年間1,000時間以上の業務時間削減を実現する見込みです。現場では、特に若手の行員の間で浸透しているようで「簡単で使い勝手が良い」という反応があったと聞きました。
テクノロジーの活用で未来創造業を推進
ーー 今後の展望をお聞かせください。
金融業界ではフィンテックに関連するサービスが多くのベンダーから提供され、利用者の方々が便利に利用できる環境が構築されつつあります。一方で、当行のような対面サービスを実施していた銀行では、過去に長い間紙媒体で事務処理を行なってきた歴史があり、その事務処理に利用した伝票類などの紙媒体を保管しています。こうした環境下では、便利なフィンテックシステムがあったとしても、過去のデータは紙媒体で、システム導入以降はシステムでと、2重管理となり効率化の恩恵を全面的に享受することができず、結果としてフィンテックサービスの導入を断念するということがあります。過去にも古い書類をすべてデジタルデータ化することを検討しましたが、書類を見ながら入力し、間違っていないかを確認するというプロセスを経る必要があり、これも体力が必要となることから断念していました。このような問題意識を販売代理店のパーソルプロセス&テクノロジー株式会社様にお伝えした所、さっそく良いご提案をいただき、古い書類のデジタルデータ化が進展しそうです。
DX Suite は紙媒体をデジタルデータ化するために非常に適していると思いますし、過去データのデジタル化によって真にテクノロジーを活用できる環境整備を行なうことのできるツールとして、大変期待しています。