導入事例

2020.12.28
大和ライフネクスト株式会社

月30時間の業務が1時間に。現場からは「超便利!」の声

大和ライフネクスト株式会社
  • 会社名
    大和ライフネクスト株式会社
  • 業界
    建設・不動産
対象帳票
積立会計の書類, 管理状況報告書, 作業報告書
before
  • 20~30時間/月かけて1,000枚の書類を入力
  • 作業日報は手書きのため、読むことにも時間がかかっていた
after
  • 入力作業が1~2時間/月になった
  • 毎月の作業日報をデータ化、迅速なフィードバックが可能に

全国のマンションやビル・商業施設の管理業務を担っている大和ライフネクスト株式会社。全国8,000もの建物を管理しているため、業務で発生する各種報告書の量は膨大な量であり、各事業所ではその入力業務に多くのリソースを割いていました。そこでデータ入力の効率化を図るためにDX Suite を導入。その背景や導入後の効果を伺いました。

業務効率化のために、IT投資をいち早く始めた会社の方針

飯田さま:弊社はマンションやビル・商業施設の管理が主な事業内容です。具体的には、建物の点検や修繕、定期的に開催されるマンション管理組合の理事会運営補助、資金の管理といった業務が管理業務にあたります。当社で管理している建物を全て含めると、北海道から沖縄まで、8,000ほどになります。弊社では「LEAD NEXTYLE」というビジョンを掲げ、私たちだけができる新しい管理業務を提案しようとしています。その中でも、ITに強みを持ち、そしてITで業務効率化されたことで、より質の高い管理業務を実現することが他社との差別化ポイントです。

紙の文化が根強いマンションの管理業界において、弊社の経営層では早い段階からITに投資をしていくという方向性が決まっていました。例えば、マンション修繕のために管理組合が貯めるお金(積立会計)の資金計画案の作成・更新をシステム化したり、最近ではRPAを導入して業務の自動化に取り組んでいます。その背景には、人口減少によって従業員の確保が年々厳しくなり、管理員さんの高齢化も進んでいるという現状があります。5〜10年後を見据え、人が直接やらなくてもよい業務はITを活用し、管理員さんだからこそできる仕事と両立することで、お客様へのサービスの質を向上させていこうと考えています。

AI-OCR導入の背景

飯田さま:管理組合のお支払いのための指示書は銀行に提出するため、支払い金額や項目など手書きで書かれた伝票をシステムに打ち込まねばならず、かなりの労力がかかっていたことからOCRの導入を検討しました。紙自体をなくせないかとも考えましたが、やはり規定のフォーマット上、どうしても紙の書類は必要でした。弊社の担当者がOCRについて情報収集していたところ、4年ほど前からOCRにAIの技術が加わったことで、急激に読取精度が向上していることが分かりました。これをきっかけにAI-OCR導入の本格検討が進むことになりましたが、そのころはまだ不動産業界でのAI-OCRを導入したという前例は聞いたことがありませんでした。

DX Suite に決めた3つの理由

飯田さま:当時、8社ほどのサービスで比較検討を行なっており、その中でも一番最後に知り、最終的に導入したのがDX Suite です。開発のスピード感と高い読取精度、住所や氏名など読取条件の選択ができることの3点が導入の決め手になりました。もともと他社製品の導入が決まっていたのですが、正直迷いがある部分もあり……。初めてDX Suite のお話を伺った時は機能面など不安要素はあったものの、その一ヶ月後には改善されていたり、新しい機能が実装されているということがあったのです。その開発のスピード感に惹かれました。導入にあたっては読取精度に強いこだわりがあり、90%は超えたいというラインが当時の担当者の中にはあったようです。OCRを扱うのはITに強い社員だけではなく、100名以上の社員がOCRを使った業務を担当することになっていたので、業務を単純化させるためにもその担当者自身が納得できなければ導入は見送る予定でした。

1年に及んだ検討期間の結果、DX Suite の導入を決めました。導入してすぐ、DX Suite が以前検討していたOCRの機能に追いつき、開発スピードの速さにも満足しています。導入の決め手になった要因の一つに「AIの活用」がありました。例えば、書類を読み取る際に読取条件で「住所」を選択すると、「0(ゼロ)」か「O(オー)」で迷うような文字があった場合は住所でよく使われる「0(ゼロ)」として優先的に読み取られるような、学習機能によるさらなる精度の向上が感じられました。DX Suite の導入を選択したことは間違っていなかったと思っています。

定量・定性の両側面で効果を実感

廣川さま:DX Suite 導入に関わるのはおよそ40部門、全国のマンションを管理・管轄する事業所ごとに2〜3名は事務職の社員がおり、トータルで200名ほどになります。各事業所で管理組合の会計処理、入力業務をしている事務職の社員の中には、IT知識がない方もいますが、問題なくDX Suite を活用しています。

当社では、「マンション管理事業」「ホテルサポート事業」「ライフソリューション事業」でDX Suite を活用しています。

①マンション管理事業
主に管理状況報告書のデータ化を行なっています。管理員が日報のような形でマンションの最新状況を毎月事務所に送っている書類で、それをデータ化したものを各マンションの理事長に送付しています。この業務では、これまで毎月月初に事務職の社員が20〜30時間かけて、約1,000枚をすべて手入力していました。「不審な音が聞こえた」「近隣トラブルがあった」「今月何人が新しく駐車場を契約した」など、様々なことが書かれており、社員も正確に読み取ることに時間を要していました。DX Suite の導入で、入力業務にかかる時間は1〜2時間に減り、人件費で計算すると1支社あたり20万円/月ほどの削減につながりました。「毎月の入力業務は憂鬱でしたが、今は非常に楽になりました」という声が現場からあがっています。他にも、誤字やヒューマンエラーが少なくなったと、現場では実感しているようです。また、導入にあたっては、セキュリティを非常に気にしていました。データとして氏名や住所がセットになるとそれは個人情報に当たってしまいますが、DX Suite は項目データが一つずつバラバラの状態で戻ってきます。この形式であれば万が一でも大丈夫ですので、セキュリティ面でもとても評価しています。

②ホテルサポート事業
ホテル施設の管理を行なっています。建物の管理だけでなく、清掃員の稼働管理もしており、「何時から何時まで、どこどこの掃除をしました」といった手書きの作業日報が清掃員からホテルサポート部に送られてきます。本来は毎日その内容を分析してフィードバックすべきなのですが、全国で100を超えるホテルと、それ以上の数の清掃員から送られてくる作業日報すべてを人の目で毎日読み込むのは不可能でした。しかしDX Suite の導入で、送られてきた作業日報をすぐにデータ化することができるようになったため、きめ細やかなフィードバックができるようになりました。これまでほとんど不可能であったことができるようになったということは、かなりの実績だと思います。

③ライフソリューション事業
各住戸に対してハウスクリーニングサービスを提供する事業です。サービスの申込書をDX Suite で読み込み、データ加工設定でバラバラの項目を結合する使い方をしています。CSVで出力後、そのままの状態で社内システムに取り込んでいます。そうすることで、出力後のCSVを修正することなく、そのまま社内システムに取り込むことができるようになりました。

社内展開のきっかけは「社内報」

飯田さま:導入初期は我々情報システム部が各部門に対して、DX Suite を活用できる業務を探すことになりました。BtoB向けの事業部(ホテル部やライフソリューション事業)は、お客様と直接の接点があり、変化に対応することがより求められます。一方、マンション事業ではそれほど業界の変化も早くなく、年単位の周期で話が進むため、すぐに取り組むことが難しく、なかなかよい反応が最初は得られませんでした。一気に社内周知が広がり、多くの部門での導入が進んだきっかけは「社内報」でした。弊社のポータルサイト内のWeb社内報では、社内の新しい取り組みが各事業所からアピールされています。2019年の3月に、横浜支社のマンション事業部から「【OCRって超便利!】横浜支社の現場でOCRを使ってみました!」という記事がポストされたのです。

その記事の結果、社内の口コミが広がり、そこから一気に導入する支社が増えました。他の現場からも同様の「助かっている」という感想が寄せられています。最初は認知まで難しかったのですが、認知されてからは普及まで早かったですね。

AI-OCRとRPAの活用で、テレワークの推進へ

飯田さま:新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、テレワーク化は今後も進んでいきます。そのためにも、テレワーク導入の課題になりがちな紙の業務は減らしていこうという動きは加速していくでしょう。しかし、どうしてもお客様から紙でいただく書類や、紙で提出しなければならない業務は残りますので、DX Suite やRPAを並行活用してうまく運用していければよいなと考えています。例えば、オフィスへの出社率を目標数値と定めた上で、柔軟に業務を変化させ、自動化と標準化を進めていかねばなりません。ただ、情報システム部からの「お達し」という形になると、これまで紙の業務に慣れてきた現場にはなかなか浸透しません。うまく事業部と連携し、社内報のように現場からテレワーク化を進めていければと考えています。

効果を出すポイントは「AI-OCRでできること・できないこと」を知ること

廣川さま:AI-OCRを導入する上で肝になってくるのが、紙のフォーマットもAI-OCRが読み取りやすいように多少は調整するべきということでしょうか。また、紙でなくては処理できなかった業務を、AI-OCRによってどのような業務フローに落とし込めるのか、よく検討した上で導入したほうがよいでしょう。

さぁ、データ活用を始めよう。
question_mark
close