導入事例
DX Suite の全社展開を目指し、現場と二人三脚でデジタル化を進めるその秘訣とは
- 会社名日本総合住生活株式会社
- 業界建設・不動産
- 設立1961年6月21日
- URL
- 年末調整書類の入力業務をアウトソースしていた
- 以前導入していたAI-OCRでは読取精度が低く、業務に適応しなかった
- 新たな人材を採用することなく、自社内での入力業務が可能に
- 支店に導入予定
UR都市機構の団地管理を手掛ける日本総合住生活株式会社。全社の業務効率化を目指し、DXBX戦略推進部を設置しました。現場の課題解決のためにAI-OCR「DX Suite」を導入し、全社展開へ。その効果と全社展開の工夫を伺いました。
集合住宅管理のパイオニア、日本総合住生活株式会社
ーー 事業内容をお聞かせください。
辻さま:弊社は集合住宅管理のパイオニアとして、UR都市機構の賃貸住宅や分譲マンションなど、お客様が安全・安心・快適な住生活を送ることができるよう、ハードとソフトの両面からサポートする事業を展開しています。本社と東京・関東・大阪・名古屋・福岡に支社、その下に24支店があり、全国約90万戸の管理業務を行なっています。
ボトムアップで課題を見つける
ーー 貴社のデジタル化はどのように進められたのでしょうか。
辻さま:2019年から本格的にデジタル化の取り組みを始め、2020年7月にデジタル化戦略推進室を立ち上げました。デジタルによる業務効率化はトップダウンではなく、現場の課題や調査から始めるというボトムアップで進めています。AI-OCRの導入も、現場へヒアリングを行なった結果を元に、要望があった業務に導入すべきかを判断しています。ヒアリングの際には、現場がAI-OCRについて理解できるようにしっかり説明しました。
ーー ヒアリングではどのような声があったのでしょうか。
辻さま:お客様からの入金確認や、売掛金の消込といった経理周りの入力業務を効率化したいという声が多くありました。内容によってはAI-OCRだけでは効率化できない複雑な業務やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だけで効率化できる業務もあったため、どの業務ならAI-OCRで効率化できるのかを精査し、AI-OCR導入の優先順位付けを行ないました。他にも、帳票の種類やボリュームがどのくらいか、フォーマットの形式は何か、といった要素で優先順位付けを実施しています。
読取精度の高さと導入実績の豊富さからDX Suite に乗り換え
ーー DX Suite を導入されたきっかけをお聞かせください。
辻さま:社内業務のデジタル化を進めていく中で、突発的なトラブルが起きたことがDX Suite 導入のきっかけです。弊社では、毎年年末調整の時期は派遣会社から2〜3週間ほど3〜4名のスタッフに来てもらい、従業員約8,000人分の入力業務を依頼していました。これまで定期的に依頼していたのですが、昨今の人材不足の影響から、「2019年はスタッフを派遣できない」とお断りされてしまったのです。人がいなければ入力業務ができなくなるため、現場は非常に困っていました。その頃、DX Suite について情報収集を始めた頃だったので、年末調整に間に合わせるために急いでDX Suite とは別のAI-OCRを導入したのです。しかし蓋を開けてみると、濁音が読めないなど読取精度が高くなかったため、実務に使えないと判断しました。その後、弊社のデジタル化にご協力いただいているみずほリサーチ&テクノロジーズ様に情報収集を依頼し、読取精度の高さと大手企業での導入実績の豊富さからDX Suite へ乗り換えました。入力業務の効率化は現場から要望が多いため、トライアルを行ないながら本導入に向けて業務の仕組みを整えていきました。
ーー 以前導入されていたAI-OCRと比較し、機能面ではどのような違いがありましたか。
高橋さま:DX Suite には仕分け機能(Elastic Sorter)があることと、自動で画像補正をしてくれることです。以前のAI-OCRは一枚一枚人の目で確認して仕分け、きれいにスキャンしないと補正されなかったため、スキャン自体が大変でした。
現場の要望に柔軟に対応
ーー DX Suite はどのような業務に導入されていますか。
辻さま:7つの業務で活用しており、各現場に順次導入しています。例を挙げると、清掃業務の清掃日報やアンケート、口座振替用紙、入金消込用の書類などです。特に入金消込用の書類は、24支店に毎月100枚〜200枚ずつ発生しています。
ーー 各現場でDX Suite の導入はどのように進められているのでしょうか。
野澤さま:デジタル化戦略推進室で帳票定義を行ない、実際に読み込んでみて問題がなければ現場に導入しています。現場の運用の仕方に認識の相違がないかを確認し、柔軟に定義や設定の変更をしています。帳票の設定は主に私が担当しており、設定で困ったことは特にありません。設定画面が分かりやすいのでスムーズにできました。
高橋さま:DX Suite の読取精度をさらに高めるために、読み取りやすいフォーマットに修正しました。例えば、はがきサイズのアンケートだと枠内に記入できないこともありました。そこで記入式からチェックボックスに変更することで読取エラーを減らすことに成功しています。
辻さま:各現場へ実際に導入する際は、デジタル化戦略推進室のメンバーが現場へ足を運び、使い方を説明するようにしています。
全社展開のために業務の流れをできるだけシンプルに
ーー 各現場でDX Suite を導入するにあたって、どのような工夫をされていますか。
辻さま:実際にDX Suite に置き換える際には、その業務にあわせてマニュアルを作成し、画面のキャプチャや絵を入れて、視覚的に画面操作が分かるように工夫しています。他にも、業務の流れをシンプルにすることも大切です。DX Suite だけでなく、RPAやマクロを組んであげることで、なるべく現場の手を煩わせないようにしています。
高橋さま:他にも、デジタル勉強会を社内で定期的に開催しています。DX Suite がどういったツールかを説明することで、社内の理解を深めています。
複数の業務でDX Suite を活用。現場から「本当に楽になった」との声
ーー DX Suite の導入でどのような成果がありましたか。
田崎さま:年末調整の業務では、アウトソースする必要がなくなり、自分たちで入力業務が完了できるようになりました。
高橋さま:一例ですが、1つの業務だけにDX Suite を活用していた支店が、毎月100件ほど発生する入金関係の入力業務にもDX Suite を活用するようになりました。これまでつきっきりで行っていた入力業務の時間が大幅に短縮され、削減できた時間で他の業務をできるようになったとのことです。また、入力ミスもなくなったことで、「本当に楽になった」との感想をもらっています。
現場に寄り添い、全社展開を目指す
ーー 今後の展望をお聞かせください。
辻さま:DX Suite をすでに導入している業務の中には、まだ全社展開が終わっていないものもあります。すべての拠点で同じように活用し、全社規模の効率化を実現していきたいです。コロナ禍では、対面で説明することが難しいため、オンラインでコミュニケーションをとり、現場の効率化に寄与していきたいと考えています。我々が一方的にデジタル化を進めるのではなく、現場の課題に正面から向き合い、共通認識を持ちながら一緒に進めていくことが大切なのではないかと思います。
田崎さま:コロナ禍でこれまで当たり前であった仕事の進め方を見直すきっかけになったと思います。「なぜデータ連携ができないのか」「なぜ紙をなくすことはできないのか」「なぜハンコが必要なのか」といった疑問を持ちながら、積極的にデジタル化を進めていきたいですね。