導入事例

2019.09.13
株式会社LIXIL

企業の業務効率化を進め競争力を高める、AI-OCR×RPA

株式会社LIXIL
  • 会社名
    株式会社LIXIL
  • 業界
    製造
対象帳票
決算書, 請求書

総合建材製品メーカーとして人々の暮らしを支える株式会社LIXIL。働き方改革を加速させるためにDX Suite を導入。その背景と活用の全貌に迫ります。

DX Suite の導入で、手書き帳票類のデータ化を実現。コピー&ペーストなどの手作業をソフトウェアロボットが代替するRPAによる業務効率化をさらに高めています。

はじめに御社の事業内容を教えてください。

株式会社LIXIL(リクシル)は水まわり製品と建材製品の開発・提供をするグローバル企業です。
社名の『LIXIL』はLivingとLifeのLIを掛け合わせた造語で、私たちは『世界中の人々のより豊かで快適な住まいと暮らしの実現』を目指しています。

OCRご検討の背景をお聞かせください。

同社がAI-OCRを導入し、活用を進める背景には、働き方改革への全社を挙げた取り組みがありました。長時間労働をなくすには、ICTを活用した業務の効率化が欠かせません。
そうした観点から弊社では、現場各部門でのRPAの利用を進め、手作業で行っていたデータ処理の自動化を推進してきました。導入と活用は現場主導とし、必要と思われるロボット(シナリオ)を自分たちで作ってもらう仕組みとしました。RPAは業務の効率化に大きく貢献しますが、その一方で別の課題が浮かび上がってきました。

弊社の現場の先にはパートナー様、そしてその向こうにはパートナー様の取引先であるビルダー様などがいらっしゃいます。そうした方々とのやり取りにはいまだ紙の帳票やFAX、PDFファイルが使われており、RPAに処理させる前段階のデータは、現場が手入力で作成する必要があったのです。RPAのメリットをさらに拡大したいと考えた現場から、OCRの導入をという声が上がってきました。

DX Suite を採用された背景を教えてください。

IT部門も、そうした“手作業”が効率化の妨げになっているという認識を持っていました。しかし従来のOCRでは、手書き文字やFAXで送られた帳票を正確に読み取ることは困難でした。そこで2018年初頭から、AIのサポートで手書き文字も認識可能なAI-OCRの導入を検討しました。導入にあたっては、手書き文字認識対応を謳う複数社の製品を業務の現場に持ち込み、使い勝手や認識率を確認するテストを数カ月にわたり行いました。
そうした検証の結果、DX Suite を採用しました。
ポイントとなったのは、手書き文字の認識率の高さに加え、操作が分かりやすいこと、セキュリティの高さ、そしてDX Suite 上で読み取った内容の確認、修正ができることがあげられます。

DX Suite 導入後の効果を教えてください。

現場への導入は2018年11月からはじまり、RPAにより実現した業務効率化がさらに加速しました。DX Suite 導入のメリットを最大限に活かすため、処理枚数の多い帳票フォーマットを中心に登録し、スタートしました。
月に1~2枚だけのフォーマットなら人間が作業してもそれほど時間は変わりません。しかし100枚、200枚の同一フォーマットは、DX Suite による処理で処理時間を大きく短縮できますし、手作業よりもミスの発生率低下が期待できるからです。もちろん万能ではありませので、枠からはみ出たり、判別しにくいものは最終的に人の目で確認しなければなりませんが、従来の手入力と比べると大きく効率化できました。

AI-OCRは人間のサポート役ですから、その段階での100%は求めていません。最終的に基幹システムにデータを引き渡すまでのどこかでエラーチェックが行われ、データの誤りが検知できればいいと思っています。そうした仕組みを考えることが、私たちの役割だと思っています。

DX Suite を利用する上で工夫した点などあれば教えてください。

AI-OCRの導入は、仕事の流れや方法について見直す機会にもなりました。
「まず、今まで使ってきた各種帳票が、AI-OCRで使いやすいのかどうかという“気づき”です。たとえば用意された選択肢から数字を書いてもらう方式とチェックボックスにマークしてもらう方式では、どちらの方が読取り易いかという判断もありますし、きちんと書かなくてはならないと思わせるフォーマットの作り方も検討中です。また内容は同一なのに複数のフォーマットが存在する帳票を統一し、パートナー様などに導入を働きかけることにも、今後注力していこうと考えています。

今後の展望について教えてください。

一方的に上から押しつけるだけでは、ペーパーレス化は進まないと思います。しかしパートナー様がLIXILへの注文は楽で、かつレスポンスも早いと感じていただける仕組みを作れば、弊社からパートナー様、さらにはその先のビルダー様にもペーパーレス化が浸透すると思います。“ペーパーレスありき”ではなく、全員がメリットを感じることで、業務効率化を進め、競争力を高めていきたいですね。

AI inside に今後期待することを教えてください。

現在約30部署で利用が進んでいるなかで、フォーマットの登録がなくても帳票類を読み取る機能がほしいという要望が特に上がっています。非定型帳票の読み取りが可能なMulti Formを現在利用しておりますが適用可能な非定型帳票がさらに増えていくと良いですね。

また現場では設計図面に製品型番や発注数を書き込み、FAXでやり取りするということもまだ日常的に行われています。これは図面と型番を照らし合わせて確認したほうが、寸法が足りないといった発注ミスを防げるためです。将来的にはそうした図面から必要な情報だけを読み取り、データ化できるAI技術に期待しています。そうなると業務効率化はさらに大きく進展するでしょう。

さぁ、データ活用を始めよう。
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