導入事例
”全自動化”のミッションを達成した、たったひとつの工夫
- 会社名ブリヂストンファイナンス株式会社
- 業界その他
- 業務集約を目的とする事業として立ち上がったが、人的リソースに依存するため限界を感じていた
- 伝票起票業務の全自動化に成功
- 繁閑差が解消でき、他業務の効率化まで図れた
2008年からタイヤ市場でのグローバルシェアNo.1となった”ブリヂストン”の金融子会社である、ブリヂストンファイナンス株式会社。同グループ経理業務のシェアードサービスとしての一面をもつ同社は、伝票起票業務の受託をきっかけに、グループの業務効率化を目指し、DX Suite とRPAを導入。その取り組みについて話を伺いました。
はじめに、御社の事業内容について教えてください。
ブリヂストンファイナンス株式会社は、タイヤ市場で世界シェアNo.1 であるブリヂストンの金融子会社として1989年に創業しました。主な事業は、グループ全体の資金を一元化する金融事業とグループ全体の業務効率化を目的としたBPR事業です。BPR事業部では、ブリヂストングループの基幹システムであるSAPの運用管理を含め、グループ内の経理や給与計算等の受託業務を行なっています。
AI-OCRの導入の背景について教えてください。
BPR事業のミッションは、グループ内の間接業務を集約し、それぞれの会社が本業に専念できる環境を提供することです。そういった取り組みの中で、株式会社ブリヂストンから伝票起票の業務を受託しました。しかし、ただ業務を集約しただけでは、人的リソースに依存しているのでいずれ限界がきてしまいます。そこで業務効率化ができる手段はないかと探していたところ、AI-OCRとRPAで効率化できる可能性を見出し、2019年3月に社内プロジェクトを発足させました。
DX Suite をご採用いただいた理由について教えてください。
AI-OCRの導入検討にあたり、4社に絞って比較・検討を行ないました。その中でDX Suite の読取精度が断トツに高かったことが、一番の選定理由です。
また、システムとの連携がしやすかったのも良かった点です。請求書に西暦和暦が混在している場合が多く、入力業務の前にそのデータを統一させる必要がありましたが、DX Suite にはデータ加工の設定があるため、その問題も解決することができました。
その他にも、AI inside のカスタマーサポートの対応も素晴らしいと感じました。問い合わせ時のレスポンスが早く「できる・できない」だけではなく、常に一歩踏み込んだ回答をしてくれるため、永くお付き合いしていくパートナーとして相応しいと判断しました。
DX Suite 導入後の効果を教えてください。
伝票起票の業務は、月間150件ほどあります。これをDX Suite とUiPathのRPAで、読み取りから入力までを全て自動化しています。AI-OCRとRPAの連携の事例では、AI-OCRで読み取った後に人がチェックしてRPAで入力するといったように、人が介在せずに行なえているところはほとんどなかったように思います。しかし、1ヶ月間のトライアル(Success Program)を実施してみると、その読取精度の高さから、「これであれば人が介在しなくても全自動でいける」と判断し、一気通貫でロボットが処理を行なうようにしました。
当社では伝票起票業務以外にも、海外出張の精算やグループ会社の支払い業務などの経理業務が月末月初に集中します。今回、AI-OCRとRPAの連携で読み取りから入力までを自動化したことにより、繁閑差が解消されたりロボットが処理している間に他の業務ができるなど、導入によって自分たちの業務も効率化することができています。
人が介在しない仕組みを作るポイントがあれば教えてください。
AI-OCRで読み込ませる前に独自で作った「スタンプを押す」という工夫をしました。スタンプの枠内に管理会計情報と紐付けた管理番号を記入してからAI-OCRに読み込ませることで、従来は人が行なっていた管理会計情報との突き合わせが必要なくなりました。また、管理番号と仕訳情報を紐付けておくことで、金額はAI-OCRが読み取るため毎月同じ費目で届く請求書の仕訳作成まで自動化できる仕組みとなっています。この方法で読み取りから入力まで人が介在しないシステムを実現しました。
また、実装前にAI inside とUiPathのAPI連携キットがリリースされたので、それを使うことで安定して稼働させることができました。わかりやすいUIに加えて、導入前にAI inside が開催しているハンズオンセミナーを受講したことで、設定について苦労することはありませんでした。
AI-OCRとRPAを導入したことにより、社内に変化があれば教えてください。
以前に比べてAI-OCRとRPAを使った業務効率化への関心は高まっています。自分の部署の業務をデータ化したいという要望であったり、この業務は自動化できるのかといった相談を受けるようになりました。
今後AI inside に期待することを教えてください。
OCRは昔からある技術ですが、AI化されたことによって別物と言えるほど進化しています。まだまだ紙での業務が多いので、その適用領域は拡大できると考えています。それには、AI inside の活用事例等で「こういう風に使えるんだ」といった気付きを与えてもらえることを期待しています。
今後の活用展望について教えてください。
業務推進部としての受託業務はスタートして間もないこともあり、現在の受託業務は想定可能と考えている業務の数%程度しか進んでいません。今後は実績を積み上げて、受託業務の拡大、ひいてはブリヂストングループ全体の効率化を目指していきます。現在、ブリヂストンファイナンス内で納付書の読み取りについて検証を実施しているところで、その他にも貿易関連書類への活用等、今後さらに活用範囲は広がっていくと思います。