導入事例

2020.12.07
日本貨物鉄道株式会社

約13,000件の入力業務を効率化!読取精度が高評価

日本貨物鉄道株式会社
  • 会社名
    日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)
  • 業界
    物流
対象帳票
課税明細書
before
  • 全国約300市町村、約13,000件の課税明細書を3ヶ月かけて8名で手入力していた
after
  • 入力業務は1~2名で完了する見込み
  • 仕分け機能の活用で入力業務以外も自動化

日本全国の鉄道貨物輸送を担っている日本貨物鉄道株式会社。全国に張り巡らされた約8,000kmの鉄道網と、国内約140ヶ所のコンテナ取扱駅やオフレールステーション(※)を結ぶ鉄道コンテナネットワークによって、大量の貨物を時間通り、正確に輸送しています。この全国規模のネットワークを適切に管理していくため、毎年固定資産税を納付しているものの、およそ300市町村から本社へ送付される約13,000件の課税明細書のデータ入力と納付業務は、同社の財務部税務部グループにとって非常に大きな負担となっていました。課税明細書のデータ入力業務の効率化を図るため、DX Suite を導入した背景や、導入後について伺いました。

経理業務が本社に集約。ミスが許されない納付業務

日比野さま:私たちが所属する財務部では、主に会社が保有する固定資産(土地、建物、線路設備、機関車など)の取得、除却、移動等、管理業務を担当しています。5〜6年前に業務集約化の一環として、これまでは地方の各支社(北海道、東北、関東、東海、関西、九州)で行なっていた経理業務はすべて本社に集約されることになりました。その中の税務グループでは、国税と地方税の納付業務を主に担当しています。いわゆる「税制改正」と呼ばれるように、毎年税金の仕組みは変わりうるものなので、税務グループ全体で対応しています。なお、財務部全体では伝票入力を行なう部門と管理する部門を合わせて40〜50名が在籍しています。

姫野さま:弊社は鉄道会社であるため、他社と比較しても設備投資が多いことから、固定資産を多く保有しています。そうした中で毎年の固定資産税を支払うことは重要な業務であり、市町村から紙で送付されてくる課税明細書を正確に処理しなければなりません。

入力の手間・ミスをなくすためにAI-OCRを導入

日比野さま:課税明細書(固定資産税・都市計画税が課税されている土地・家屋の所在、地番、価格などの状況が記載されている)の入力業務における手間とミスを可能な限り減らすため、自動で文字を読み取るAI-OCRを導入することにしました。

姫野さま:約300もの市町村から、それぞれ異なった様式の課税明細書が本社に一斉に届くため、4〜7月はとても忙しくなります。昨年は約13,000件の課税明細書が届きました。これまでは課税明細書の管理にはExcelだけを使用しており、一つひとつ目視で確認して入力しなければなりませんでした。さらに、市町村によって違う様式であり、同じ市町村でも昨年の様式とは異なる場合もあります。

三澤さま:1ヶ月で集中的に処理しようとすると、おおよそ8人工もの業務量になります。他の業務との兼ね合いから、現実的には均等にメンバーで振り分けて処理することになりますので、3ヶ月くらいはかかっていました。一般的に人件費は給与の1.5倍から2倍と言われていますので、あくまでも概算ですが、1人あたり年1,000万円として換算すると2,000万円ほどかかる業務です。また、課税明細書の数値は、新たな会計基準で税務以外にも使用されており、サンプルチェックを受け1円単位ながらミスが多発した結果、全てやり直しとなった年度もありました。そうなると余計に業務が発生します。

DX Suite 採用の決め手は、9割を超える読取精度と価格

日比野さま:リコージャパン様からのご紹介でDX Suite を知りました。比較検討にあたっては大手企業のサービスも含む、3社から見積もりをもらい、同時にトライアルをする中で「読取精度」と「価格」を重視して比較しました。昨年の課税明細書を試しに200件ほど読み込ませ、読み取れなかった箇所はいくつあるのかを実際に数えました。その結果、3社の中で最も「読取精度」が高かったDX Suite を導入することに決めました。DX Suite の読取精度は9割を超えており、価格もその精度の高さに見合っていると感じています。ツールの読み込みエラーやミスがあると余計な業務が発生し、業務効率化という本来の目的が果たせません。企業がAI-OCRを導入する際は、精度が高いツールを選ぶべきだと思います。

仕分け機能の活用でさらなる効率化を実現

日比野さま:OCRだけではなく、仕分け機能(Elastic Sorter)も活用し、これまで人の手で行なっていた課税証明書の仕分け業務も自動化しています。2020年の納付関連業務は完了しているので、来年からDX Suite を本格的に稼働していきます。現在はその準備として、300市町村分の課税明細書のフォーマットの帳票定義を進めています。帳票定義の条件設定で修正があったり、操作が分からなくなった場合は、AI inside のカスタマーサクセスへ電話やメールで問い合わせをしています。3ヶ月ほど使ってみて操作にはだいぶ慣れてきたこともあり、今のところ問い合わせるほどの問題は起きていません。

三澤さま:現在は移行期で、4名体制で帳票定義を行なっており、2021年には入力業務は1〜2名で充分になるはずです。

帳票設定が自分でできるため、少ない人員で業務が完結

日比野さま:小数点までしっかり読み取れるところが便利だと感じています。土地の面積は100分の1以下の小数点まで細かく記載されているのですが、この記載の仕方も市町村によって微妙に異なっているのです。例えば、一般的に使われる「.」で区切られている場合や、縦棒で区切られている場合です。整数部と小数部(小数点以下)を別々に読み取り、DX Suite のデータ加工設定で自動的に組み合わせているのですが、かなり正確に読み取れている実感があります。

三澤さま:固定資産税は固定資産の適正な時価を課税標準として課税されるものなので、3年に1度、「評価替え」として土地と家屋の評価額が見直されます。このタイミングで課税明細書の様式が変わったり、評価概要も変わることがあります。そうした事情も踏まえて、昨年のフォーマットの帳票設定を本社の私たちで変更できることは非常に便利です。これはDX Suite だからこそ自前でできるのですが、他社製品ですとそうはいかないようで……。他社製品の場合は帳票設定を変更するだけでも外注が必要と感じていました。また、その単価も決して安くはありません。情報システム部の方に帳票設定のテストを委託していたのですが、読取精度も含め、途中で「これは難しいですね」と言われてしまい……。他社製品を導入した場合は、帳票設定専用の派遣社員を雇う必要があるかもという話も出たぐらいです。しかし、現在はDX Suite のおかげで本社の少ない財務部の要員で対応できています。

目指すは、業務全体の効率化

日比野さま:固定資産税の課税明細書に関する処理業務は、2021年の4月頃から本格的に稼働します。それまで別の読み取りが必要な業務、例えば経理センターの請求書や市町村から送られてくる各種請求書を読み取ってシステムにつなぐことも検討しています。この請求書の入力業務もかなり大変なのでこれらも効率化していこうと考えています。

三澤さま:弊社では、数年前よりマトリクス経営管理が始まり、収支のデータ分析の精度向上による「経営の見える化」を進めています。また、鉄道事業は固定資産の比率が高いことで、設備投資の判断にも企業活動全体の見える化が必要です。細かい数字が見えることによって収支構造が改善され、企業として次の一手を打つことができます。より強い会社にするために進めているこの「経営の見える化」に、今回のAI-OCRの導入の取り組みが貢献できると嬉しいですね。

※最寄りの貨物駅との間をトラック輸送で結び、鉄道貨物駅と同じコンテナ取扱機能を持った拠点

さぁ、データ活用を始めよう。
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