コラム

公開日:2022.09.09
更新日:2022.09.09

AI-OCRで業務効率化!導入のポイントやRPAとの連携も解説

AI-OCRで業務効率化!導入のポイントやRPAとの連携も解説

業務効率化の観点から近年注目を集めているAI-OCR。この記事では、AI-OCRのメリットや導入する際のポイントについて解説します。RPAとの連携についても紹介しているのでぜひ参考にしてください。

AI-OCRが注目されるようになった背景

AI-OCRは入力業務を効率よくできる便利なツールです。OCRの技術は以前からありましたが、AIの技術が加わったことにより、近年特に注目を集めるようになりました。まずはなぜAI-OCRが注目されるようになったのかを確認していきましょう。

働き方改革によるリモートワークの普及

日本政府が推進している「働き方改革」や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の流れを受けて、2020年ごろからテレワークを導入する企業が急増しました。

そのテレワークの導入にあわせて、業務内容の見直しや生産性の向上に注力する企業も増えています。

しかし、業界によっては紙を使った業務がまだまだ多く、特に自治体や金融機関などの業界では、手作業でのデータ入力が必要なケースも少なくありません。

AI-OCRは、こうした紙の情報をデジタル化することで、業務の効率化やリモートワークの推進を図ることができるツールとして、幅広い企業や団体から注目されているのです。

テクノロジーの進化による読み取り精度の向上

OCRにおけるAIの研究は、非常に発展してきており、特にパターン認識技術の面においては技術力の進歩が目覚ましいです。

AIの技術を導入し、文字認識事例を数多く学習させることで、より精度の高い読み取りを実現しています。AI-OCRの製品によっては、従来のOCRでは読み取ることのできなかった、手書きの文字まで読み取ることが可能です。

また、AI技術の導入によって単なる文字認識だけでなく、対象書類の認識範囲を特定するレイアウトの認識も高精度を誇るようになりました。

そのため、これまでのOCRでは必須であった、読取範囲の設定をする必要なく、文字の読み取りを行うことができる場合もあります。

以上のような技術の発展によって、実際の業務レベルでAI-OCRが利用できるようになりました。

AI-OCRの仕組みと期待できる業務効率化

AI-OCRを導入する前に、仕組みを正しく理解し、どんな効果があるのかについて確認しておくことが重要です。ここでは、基本的なAI-OCRの内容から業務効率化の仕組みを詳しく解説します。

データの入力時間の削減

AI-OCRは書類やPDF、画像データの文字を抽出して読み取り、文字データに変換する光学認識機能に、AI技術が組み込まれたツールです。

AI技術を導入していない従来のOCRでは、文字認識の精度が低く、実際の業務には利用できないケースが多いという課題がありました。しかし、AIが導入されたAI-OCRは、読取精度が非常に高く、入力作業はほぼAI-OCRに任せ、人間はデジタル化されたデータの確認作業に集中できるようになりました。

これによって、データ入力に必要な時間の削減や入力ミスの最小化が実現できるようになり、業務コストを減らせるようになりました。

紙書類のデジタル化による保管場所などのコスト削減

帳票類や企画書、決算書などの業務に関わる書類を、紙ベースで一枚一枚丁寧にファイリングして保存しておくのは、保管場所や管理コストも必要になりますし、非常時に紛失してしまうおそれもあります。

ですが、AI-OCRを導入し、書類を全てデジタル化できれば、保管場所を取ることもありませんし、管理コストの削減も可能です。

また、ファイルをデジタル化することによって、検索性が増し、データへのアクセスも早く、簡単に行えます。紙による保管での経年劣化や紛失のリスクも減らせるため、危機管理の観点からペーパーレス化を目指す企業への導入も進んでいます。

書類のデジタル化が推進される流れになっている

日本では、電子取引や書類のデジタル化を推進する動きが強まっています。

実際、1998年に国税関連の書類の一部デジタル化を認める「電子帳簿保存法」が施行されました。その後、電子帳簿保存法は複数回改正され、帳簿類のデジタル化普及のために緩和が行われてきています。

AI-OCRは、この電子帳簿保存の対応のために注目されてきています。

データの検索や共有、加工がしやすくなりテレワークに対応できる


テレワークの普及により、社員全員がオフィスに出社するというのが、当たり前ではなくなりました。このため、いざ書類を共有したいと思っても、紙ベースで保管している場合は、情報を一度データとして取り込んでからメールに添付するなどの手間が発生します。

その点、各書類をあらかじめAI-OCRで電子化しておけば、従業員同士での共有が楽になり、書類データの加工も容易に行えます。

AI技術によってフォーマットの異なる非定型帳票も対応可能

AI技術が搭載されていない従来のOCRでは、事前に読み取り位置や項目を定義をした定型の帳票読み取りのみ可能でした。逆に、設定されていないフォーマットの書類を読み込む場合は、その都度設定が必要になるため、手間がかかってしまいます。

しかし、AI-OCRはAIが読み取り位置や項目を自動抽出するため、事前の設定は不要となり、非定型の帳票にも対応できるケースがあります。

発注書や納品書などフォーマットの異なる非定型帳票であっても、スキャンするだけで項目を抽出可能なケースが増えたため、時間や人員コストを削減できます。

参考:AI-OCRとは?OCRとの違いとメリット、活用事例を解説

AI-OCRとRPAを連携すればさらなる業務効率化が可能

前述した通り、AI-OCRを導入することで、書類のデジタル化を高速でより正確に行えます。これにより、入力業務の時間削減、入力ミスの最小化、管理コストや情報共有の手間を削減できるため、大幅な業務効率化が進められます。

さらに、入力したデータを活用する場合は、RPAと連携させることでさらに効率化が可能です。ここからは、RPAについて詳しく確認していきましょう。

RPAとは

RPAとはRobotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、日本語に訳すと「ロボットによる業務自動化」という意味になります。

事務作業のような定型作業を、パソコンにインストールしたソフトウェア型のロボットが自動的に処理するシステムを指します。さまざまなアプリケーションの提携業務を自動化でき、幅広い業務の質と効率を改善できます。

具体的には、RPAツールに業務の内容をシナリオとして記憶させ、そのシナリオに沿った作業を自動で行わせるというものです。シナリオ作りは専門的な知識を必要とせずに行える方法があるため、導入のハードルは決して高くありません。

AI-OCRとRPAを連携すればデスクワークを自動化できる

今まで、手書き文字を元にデータ入力していた一連の作業も、AI-OCRとRPAを連携させることで、一連のデスクワークを自動化することができます。

例えば、顧客情報を複数のシステムに登録する場合を考えてみます。

この場合、AI-OCRの導入だけでは、CSVでのデータの一括インポートはできるものの、手動での作業が残ってしまいます。一方、RPAを連携させると、読み込み後のデータの入力まで自動でできます。

AI-OCRを導入するだけでも十分、これまで以上に業務を効率化できますが、RPAと連携することで、デジタル化されたデータの他システムへの連携まで自動化することができるため、さらなる業務コストの削減につなげられます。

AI-OCRを導入する際の選び方のポイント

AI-OCRはさまざまな会社が製品を提供しています。そのため、複数の製品を見比べて自社に最適なものを選択することが大切です。

ここでは、AI-OCRを導入に失敗しないためにも、導入時に確認しておきたいポイントを解説します。

将来的な業務に見合った読み取り精度か


AI-OCRにはさまざまな製品があり、製品ごとに得意な帳票や機能・性能が異なるため、自社の業務に合った製品を選択することが重要です。

また、導入時点で対象となっている文字の読み取りだけでなく、先々で使用するかもしれないと予想される帳票や業務も視野に入れておきましょう。無駄なコストを削減するためにも、AI-OCRを導入後にしっかりと活用できることが大切なため、現在から将来にかけて使用できる製品を選択してください。

AI-OCRを特定の業務に特化して導入する場合

「見積書」や「納品書」「請求書」など特定の業務や帳票に特化してAI-OCRを導入する場合は、事前設定をしなくても、複数のフォーマットの読み取りができる機能があります。

特定の分野での利用を検討している場合は、このように特定の帳票に特化したAI-OCRを選択することがおすすめです。

AI-OCRを業務を限定せずに導入する場合

業務や帳票を限定せずにAI-OCRを導入したい場合は、事前に帳票のフォーマットやレイアウトについて設定が可能なものを導入するのがおすすめです。事前設定に時間や手間はかかりますが、読取精度が高まるというメリットがあります。

初めてでも使いやすいか

AI-OCRは業務を効率化させるためのものですので、読み取りの精度と同じくらいに「使いやすさ」も大切です。AI-OCRは導入後に、読み取る帳票にあわせて、読取範囲の設定などの各種設定をする必要があります。

どれだけ性能の高いAI-OCRでも、使いこなすことができなければ、業務を効率よく進められません。

「誰でも簡単に使いこなせるかどうか」「実際に業務で使うシーンを想像して問題ないか」を考えたうえで、製品を選ぶようにしましょう。読み取り後のチェックや、修正などの操作性がシンプルで直感的に実行できるものがおすすめです。

導入前にトライアルで利用できる製品もあるので、気になる製品があれば一度トライアル利用し、操作性を確認することをおすすめします。

他のシステムとの連携はできるか

AI-OCRは非常に便利なツールですが、業務効率化を図るのであれば、他のシステムとの連携も重要です。

前述したRPAや既存のシステムと連携することによって、さらに業務の効率化を図ることができます。会計システムや顧客管理システムなど、入力データを複数のシステムで利用する場合は、連携性も意識してみてください。

なお、他のシステムと連携する際、一般的にはAPIと呼ばれるインターフェースの利用が必要です。複数のAPIに対応しているAI-OCRを選択すると、他のシステムを柔軟に組み込めます。

システムのセキュリティ面で安心か

業務の効率化を目的として導入されるAI-OCRですが、性能面や使い勝手以外に「セキュリティ面」も重要です。

利用を検討しているAI-OCRの提供元が、第三者認証であるセキュリティ認証の「プライバシーマーク」や「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」を取得しているかどうかを、まずは確認しておきましょう。これらのセキュリティ認証がない場合は、安全性の面で不安が残ります。

また、AI-OCRの中にはデータをAIの学習のために利用する場合もあります。書類の読み取りで顧客の個人情報を扱う可能性がある場合は、データの利用に関する内容を必ず確認しておきましょう。

AI-OCRの製品はクラウド型の製品がほとんどですが、中にはオンプレミスでの提供が可能なAI-OCRもあります。そのため、セキュリティ要件の厳しい金融機関や自治体でもAI -OCRを導入している企業が増えてきています。

サポート体制が充実しているか

何か問題が発生したとき、サービスの提供元がどのようなサポートをしてくれるのか、実際に導入する前にお試し利用期間があるのか、についても事前に確認をしておきましょう。

サポート内容を確認する際には、「使い方のフォロー」と「トラブル時の対応」の両方を行っているかを確かめることが大切です。

サポートを依頼できるかどうかは、サービスを長く運用していくうえで非常に重要な要素といえます。

活用の実績があるか

機能やサポート体制がどれだけ魅力的でも、実際の導入事例がなければ、少し不安になりますよね。

例外はありますが、基本的には多くの会社で利用され、支持されているAI-OCRシステムを選択するのがおすすめです。

大抵のサービスの場合、どの企業でどのように使われているかの活用事例が、公式サイトなどで公開されています。気になるAI-OCRがあれば、まずは実際にその製品がどう使われているかを調べてみてください。

もし、公式サイトなどに掲載がない場合は電話やメールで問い合わせをして聞いてみるのも良いでしょう。

AI-OCRを活用して業務効率化を進めましょう

この記事では、AI-OCRが注目されるようになった背景から、業務効率化に期待できる点、導入する際に確認しておきたいポイントについて紹介しました。

AI-OCRを導入することで、業務の効率アップを図れるだけでなく、RPAのような外部システムと連携により、業務はさらに効率化できます。

ぜひ色々な製品を比較検討し、自社に最もマッチしたAI-OCRを活用ください。

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さぁ、データ活用を始めよう。
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